犬を家族に迎え入れる際、最低限のしつけは必要不可欠です。今回は「なぜ犬にしつけが必要なのか」「どのようなしつけが必要なのか」など、しつけを行う際のポイントや注意点をまとめました。
この記事がこれから犬を迎え入れようと考えている方や愛犬のしつけに迷っている方の参考になれば幸いです。
しつけは愛犬と人が幸せに暮らすために必要不可欠
これから犬を迎えようと考えている方の中には「かわいい愛犬には自由に暮らして欲しいからしつけをするのは可哀想」と考える方もいるかもしれません。しかし、犬と人が幸せに暮らすためにしつけは必要不可欠です。
犬にしつけが必要不可欠な一番大きな理由は犬と人間では生活のルールが異なるからです。例えば、部屋のあちこちでトイレをすることや深夜に大声で吠えること、他の人に噛みつくことなど犬は悪いことだと思っていません。しかし、人と暮らす上でこのような行動は問題になってしまいます。
オテやオカワリなどの芸は出来なくても日常生活に支障はありませんが、決まった場所でトイレをすることや人が触っても噛みつかないこと、地面に落ちているものは食べないことなどはしつけを通じて教える必要があります。
子犬期のしつけの大切さ
犬のしつけを行う際は子犬の時期からはじめた方が良いとされています。その理由としては犬はしつけを行っていない場合であっても周囲の環境や状況から様々なことを学習し成長していきます。
そのため、まだ適応力が高く成長段階である子犬のうちに人に適したルールを教えてあげることで柔軟に対応することが可能になります。成犬になってからしつけを行う場合は、すでにその犬が学習したルールを変更する必要があるため子犬の頃に教えるより時間がかかる場合が多いため根気よく行いましょう。
また、新たに子犬を迎え入れる場合は出来るだけ早い段階から少しずつしつけを行うことが大切です。
これだけは覚えさたい、基本的なしつけのポイントと注意点
前述ではしつけの大切さについてお話をさせて頂きました。しかし、実際にどのようなしつけが必要なのか分からないという方も多いはずです。
家庭犬として犬を迎え入れる上で覚えさせた方が良いとされる基本的なしつけを6つご紹介させて頂きます。しつけをするにあたってのポイントや注意点についてもお話しますので、愛犬のしつけに悩まれている方もぜひ参考にして下さい。
アイコンタクトを取れるようにしておく
アイコンタクトは全てのしつけを行う基礎として必要です。
アイコンタクトとは愛犬が飼い主様の目を見つめ、飼い主様に注目している状態のことを指します。飼い主様の声や合図に反応し、しっかりとアイコンタクトを行うことで犬は飼い主様の話を聞く体制になります。
アイコンタクトを教えるポイントとしては犬が自分の名前を覚えることからスタートします。飼い主様が愛犬の名前を呼んだ際、犬が「なぁに?」と飼い主様の目を見つめてくることがアイコンタクトの第一歩です。名前を呼んで反応するようになったら様々な場所や状況で名前を呼んでも反応するようにアイコンタクトの強化を行いましょう。
オヤツやごはんに気を取られている時やお散歩中、ドッグランなどどんな状況でも飼い主様に注目が出来るようになることで突然の事故を防ぐことも出来ます。
アイコンタクトを教える際の注意点としては、名前を呼んで振り向かない場合に連続で呼びすぎると犬が名前に反応しなくなる可能性があります。名前を呼んで振り向かない場合はオヤツやオモチャなど愛犬の興味のあるもので気をひくように心がけましょう。
おいでを覚えさせる
愛犬の名前やおいでという言葉で飼い主様の元へ戻ってくるようにしつけるのも大切です。
おいでを覚えることでドッグランだけでなくお散歩中に万が一首輪が外れてしまった場合や不注意で玄関から飛び出してしまった場合に事故や迷子になることを防ぐことができます。
おいでを教えるポイントとしては、飼い主様の元に来ると良いことがあると犬に学習させることです。例えばごはんやオヤツをあげる前においでと呼ぶ、おもちゃで遊ぶ前はおいでと呼ぶなど、おいでと呼ばれていくと良いことがあると犬はおいでという言葉に反応して来るようになります。
おいでを教える注意点としては、ケージに入れるためやブラッシングをするために愛犬を呼ぶなど、犬が苦手なことをする時はおいでと呼ばないように注意が必要です。飼い主様に呼ばれて行ったら嫌なことをされたと犬が学習してしまうと、おいでという言葉を無視するようになってしまいます。
愛犬が苦手なことをする前はおいでと呼ぶことはせずに、黙って愛犬を捕まえるのが良いでしょう。オヤツをあげる時や撫でる時、ボール遊びをする時など愛犬が好きな行為をする前においでと呼んであげて下さいね。
人に触られることに慣れさせる
犬は人に触られるのが好きな生き物と思いがちですが、実はそんなことはありません。特に臆病な犬や警戒心の強い犬の場合、飼い主様に触られるのは好きだけど知らない人に触られるのは苦手という子も少なくありません。
柔軟で警戒心の低い子犬のうちから家族や友達、お散歩中の人などさまざまな人に触られることに慣れるトレーニングを行いましょう。人に触られることに慣れさせるしつけを行う際のポイントは、人に触られることが嬉しいと覚えてもらうことです。
最初は背中や体の側面など犬が撫でられるのが好きな場所を撫でてもらい、徐々に耳や尻尾など苦手な場所を触られても怒らないようにトレーニングを行いましょう。
人に触られることに慣れさせるしつけの注意点としては焦らないことです。焦って人に無理矢理近づける、犬が嫌がっているのに苦手な場所を触るなどをしてしまうと触られるのがもっと苦手になってしまう可能性があります。
トイレの場所を覚えさせる
人と犬が室内で生活する上で重要になるのがトイレの場所を覚えることです。本来、犬にとってトイレはトイレシートの上でしなければいけないという感覚はありません。しかし、今後愛犬と過ごす十数年間もの間、愛犬が粗相をしたマットやカーペットを毎日掃除することになると飼い主様に大きな負担となるでしょう。
そうならないためにも、早い時期からトイレトレーニングを行い、トイレはトイレシートの上でするものだと覚えてもらいましょう。
トイレトレーニングを行うポイントとしては、まず犬がどのようなタイミングでトイレをするのか観察することが大切です。毎日観察しているとご飯を食べた後はトイレをする、朝起きたタイミングでトイレをするなど愛犬がトイレをするタイミングが分かってくるはずです。
トイレをするタイミングがある程度わかったら、そのタイミングで愛犬をトイレシートの上に連れていきましょう。トイレシートの上でトイレをすることが出来たら沢山褒めてあげて下さい。
トイレを教える際の注意点としては、犬がトイレを失敗しても決して叱らないことです。犬はトイレをした時に叱られると、トイレをすることはいけないことだと勘違いしてトイレをすること自体を我慢して病気になってしまう場合や隠れた場所でトイレをするようになってしまう場合もあるため状況が更に悪化してしまいます。
食事は飼い主の合図を待ってから
犬に食事を与える際は、飼い主様の合図を待ってから食べるようにしつけを行いましょう。飼い主様の合図を待ってから食べるようにトレーニングをすることで、散歩中の拾い食いなども防ぐことが出来るでしょう。
食事を食べる際に飼い主様の合図を待つように教えるポイントとしては、犬が食事に飛びついてしまいそうな時は一度フードボールを犬から離しましょう。そして、犬がオスワリをして飼い主様の目をじっと見つめている時はフードボールを徐々犬に近づけていきます。犬が待つことが出来たらヨシと合図を送り食べても良いよと許可を出してあげましょう。
注意点としては待てた場合も待てなかった場合も犬が一度フードボールに口をつけて食べ始めた際は犬から食事を取り上げないように気をつけましょう。犬が食事をしている時に取り上げてしまうと犬にとって飼い主様や人間は自分の食事を取り上げる存在だと覚えてしまい、食事中に触ったり近づくと唸り声をあげたり、噛みつくようになってしまうため危険です。
社会化トレーニング
社会化トレーニングとは様々な環境に慣れさせることで犬自身が怖がらずに快適に過ごせるようにトレーニングを行うことです。犬は生涯に渡り社会化を続けますが、特に生後3ヵ月半までの時期は社会化期と呼ばれ様々なことに順応しやすい時期とされています。
子犬から家族に迎え入れる場合は生後3ヵ月半までの間に色々な経験を積ませることがポイントです。
抱っこをして外へ連れ出すことで外の環境になれるトレーニングを行うことや、室内でも電話やチャイム、掃除機などの音に馴れさせるトレーニングも大切です。また、子どもや高齢者、男性などさまざまなタイプの人に触れることや犬同士で遊ばせることも社会化の一環として必要です。
社会化トレーニングの注意点としては犬自身が楽しめる範囲でトレーニングを行いましょう。犬が嫌がっているのにも関わらず無理矢理トレーニングをしてしまうと、トラウマになり更に苦手になる可能性があります。大きな音が苦手であれば小さな音から慣らす、特定の人が苦手であれば遠くから見るところから慣らすなど少しずつトレーニングを行いましょう。
ポイントは叱るよりも褒めること
犬のしつけを行う際、もっとも大切なポイントは叱るよりも褒めて伸ばすということです。
この行動をすると飼い主様が喜んでくれる、良いことがあると犬が学習すると積極的に行ってくれるようになります。それを繰り返すことで犬は自信がつき、飼い主様との信頼関係もより強くなるでしょう。
犬を褒める際の注意点としては、犬が良い行いをした直後に褒めることです。犬は数秒で直前の行動を忘れてしまうと考えられています。そのため、何か行動をした数分後に褒めてもなぜ褒められているのか理解できません。飼い主様が犬の行動を推測し良い行いをした直後に褒めるように心がけましょう。
また、叱る時も同様数秒後でないとなぜ叱られているのか理解することができません。いたずらなどを後から気付き叱ると犬は突然叱られたと感じてしまい信頼関係が崩れてしまう可能性があります。犬がいたずらを場合も現行犯で叱ることが出来なかった時は黙って片づけ普段通り接してあげて下さいね。
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